人妻 香苗 4|寝●られ体験談|ネットで見つけた!素人の超エロい本当にあった体験談!

人妻 香苗 4

投稿日時:2014/10/06 17:18カテゴリ:寝●られ体験談

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恭子 「香苗さ〜ん!」
香苗 「ぇ……?あ、恭子さん。」
それはある日の朝の事だった。

香苗がゴミ出しに行くところで、後ろから来た恭子が声を掛けてきた。
恭子 「おはようございます。」
香苗 「おはよう、恭子さんは今から出勤?」
恭子 「はい、なんだかお隣なのに、お顔合わせるのは久しぶりですよね。」
香苗 「ホント……恭子さん近頃は一段と忙しそうね、帰りもいつも遅いんでしょ?」
以前は恭子を部屋に呼んで晩御飯を共に食べたりしていたが、最近はそういう事もめっきり減ってしまっていた。

最近の恭子は今まで以上に朝の出勤が早く、帰りも夜遅い。

休日に何度か恭子を食事に誘おうかと考えていた香苗だったが、きっと疲れているだろうと思って遠慮していた。
恭子 「毎年この時期は忙しいんですよ。祐二さんも最近は忙しいんじゃないですか?」
香苗 「うん、やっぱり今はどこの会社も忙しいのね。恭子さんも大変でしょ?疲れとか溜まってるんじゃない?」
恭子 「ん〜多少はありますけど、私今の仕事好きだから、結構楽しんじゃってます。それに今の時代、仕事がないより忙しい方が恵まれてると思いますし。」
香苗 「そ、そっかぁ…。」
そう仕事の話をする恭子の表情は明るかった。

毎日仕事を長時間して、部屋には寝るためだけに帰ってきているような忙しい生活をしているというのに、恭子の表情からは疲れは感じられない。
……やっぱり恭子さんは凄いわ……
そんな恭子に対して、同年代の女性として香苗が尊敬心を抱くのは当然かもしれない。

自分とは違う人生の道を歩んでる女性が近くにいる。

自分も結婚せずに仕事を続けていたらどんな人生になっていたのだろう。

でも少なからず、恭子のように社会に揉まれ、忙しさに追われる毎日を送る事に、自分が耐えれる自信は無かった。

そういう事を考えるといつも同じような結論に至る。祐二と結婚してよかったと。

楽な道を選べて良かったという意味ではない。

この先子供ができたりすれば、子育てと家事で今の数倍忙しくなるだろうし、専業主婦も楽ではないのだから。

しかし家事が得意な香苗にとっては、やはり女性としてこちらの道がきっと正解だったのだ。
恭子 「そういえば……香苗さん、最近英治が昼間にご迷惑掛けてたりしませんか?」 
香苗 「……え?」
英治……それは恭子の恋人であるあの中嶋の事だ。

香苗は急に恭子が中嶋の話をふってきた事に動揺していた。
香苗 「あ……え…えっと中嶋さん?ど、どうして?」
恭子 「最近英治、私の部屋にずっといるんですよ。」
香苗 「そ、そうなんだ……。」
恭子 「え?香苗さん知りませんでした?私の部屋にずっと英治がいた事。」
香苗 「ぇ…あ…そ、そういえばエレベーターで1回いっしょになったっけ……そっかぁずっと居たんだね、それは知らなかったぁ……」
この時の香苗は明らかに動揺と嘘が顔に出ていて不自然だった。

そう、香苗が言っている事は嘘である。

恭子の部屋に中嶋が居座っていた事は知っていたし、それどころか香苗は、恭子の部屋で昼間中嶋が毎日何をしているのかまでよく知っているのだから。
恭子 「彼の仕事って基本的にどこでできますから。」
香苗 「そ、そういえばそうだったね……。」
恭子 「だから昼間とか香苗さんに迷惑とか掛けてないか心配で、あの人変わってるとこあるから。」
香苗 「べ、別に……そんな事は無かったけど……会ってないしね……」
恭子 「そうですか、それなら良かった。何か英治がご迷惑掛けるような事があったら直ぐに私に言ってくださいね、叱っておきますから。」
そう冗談っぽく笑いながら言われ、香苗もそれに合わせるようにして笑顔を作っていた。

恭子の電車の時間もあるので、マンションの前で早々に別れた2人。

恭子に手を振り終わった香苗は、思わずその場でため息をついた。
香苗 「……はぁ……」
恭子の元気で幸せそうな顔を見ていたら、なんだか香苗は気が重くなるような気分になった。

中嶋が昼間にしている事、それを知った最初の頃は恭子にその事を伝えるべきか迷っていた香苗。

別の女性を部屋へ連れ込んでいる中嶋に、1人の女として嫌悪感や憤りを感じていた香苗。

しかし今、毎日自分がしている事を考えたら、決して恭子にその事は言えない。
ゴミを出し終わり部屋へと戻る途中、ふと恭子の部屋のドアの前で立ち止まった香苗。
……今、この部屋に中嶋さんがいるんだわ……
毎日毎日、あんな事をしているいい加減な男。

普通に考えたら嫌悪感しか感じない男。

しかしそんな男に香苗は今、密かに振り回されている。

欲求に負けてしまったあの日から、香苗の昼間の生活は一変してしまった。

家事の仕事も、近頃手抜きになってしまっている。

こんな事ではいけないと思いながらも毎日してしまうあの行為。やめられないあの行為。
香苗 「……。」
恭子の部屋のドアをじーっと見つめる香苗。

このドアの向こうにその原因を作っている張本人がいるのだと思うと、なんだか身体がまた熱くなってくるようだった。
香苗 「……。」
と、香苗がそんな事を考えながらボーっと恭子の部屋の前で立ち尽くしていたその時だった。
ガチャ……
香苗 「……えっ……!?」
香苗は一瞬、心臓が止まるのではないかというくらいに驚き、そして焦った。

突然その恭子の部屋のドアが開いたのだ。
香苗 「……ぁ……」
突然の事にその場で固まってしまう香苗。
そしてその部屋から出てきたのは当然、あの男だった。
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全身が強張って、身体が動かない。

ここ最近の香苗にとって、ずっと声と妄想の世界だけに登場していた男が、今目の前に現れたのだ。

自分の妄想の中で膨らみ続けていたその男のオーラに、香苗は一瞬にして包み込まれ、固まってしまった。

緊張とは違う、何か心臓をガシッと掴まれてしまったかのような気持ち。
香苗 「……」
中嶋 「……ん?」
恭子の部屋から出てきた中嶋は、開けたドアのすぐ目の前に人がいるのに気付き、一瞬少し驚いたような表情を見せた。

しかしそれが隣に住む香苗だと分かると、中島の表情はすぐにあのニヤっとした笑みに変わる。
中嶋 「あれぇ?奥さん、どうしたんですか?そんな所に突っ立って。」
香苗 「ぇ……ぁ……」
中嶋の声だ。

いつも壁越しにこっそり聞いていた中嶋の低い声が、胸の奥まで響いて身体の中にまで入ってくる。

その瞬間、香苗は自分の身体が急激に熱くなっていくのを感じた。

ドクドクドクドクドク……と、身体の芯から血液が沸騰していくかのように一気に熱くなっていく。

中嶋のオーラと低い声に自分の身体が侵食されていく、そんな感覚だった。
香苗 「…ぁ……あ、あの……えっと……」
パニック状態。

中嶋に今何を聞かれたのか、自分が今何を答えればいいのか分からない。
それどころか、どうやって声を出せばいいのか、どうやって呼吸をすればいいのかさえ香苗には分からなくなっていた。

それぐらいに動揺していたのだ。
中嶋 「ん?どうしたんですか?顔が真っ赤ですよ奥さん。」
香苗 「い……いえ……あの……」
額から汗がジワァっと噴き出してくる。

物凄くアルコール度数の高い酒を飲んだときのように、香苗の身体はある種の反応を示していた。

そう、頭で感じて起きる反応ではなく、つま先から脳髄までの全身が、香苗の意思とは関係なく大きな反応を示している。

そしてそれはもちろんアルコールのせいでなく、明らかに目の前にいる男、中嶋に対して香苗の全身が反応を示しているのだ。
……ハァ……ハァ……ハッ…ハァ……ハァ……ハァ……
香苗は中嶋の顔を見る事ができない。香苗は顔を下に向け、その視線は中嶋の手をジッと見つめていた。

中嶋のゴツゴツとした男らしい大きな手、太い指。
中嶋 「……だ、大丈夫ですか?」
……ああ……何これ……熱い……身体が熱い……
なんだか身体が熱くなると同時に聴覚が急激に狭くなっていくようだった。

外の街の音などは全く聞えなくなり、香苗の身体を熱くさせる中島の声だけがダイレクトに身体に入ってくる。
香苗 「……ぁ…あの……ハァ……」
一気に火照っていく身体の中で、香苗は下腹部でいつも感じていた、あのモヤモヤムラムラとした感覚が身体の中から一気に溢れ出て決壊してしまうような怖さを感じた。

そしてジンジンと身体の熱がその下腹部へと集まってくる。
……ハァ……ハァ……ハァ……
香苗のアソコが、ヴァギナが、尋常じゃない程に疼いている。
……イヤ……どうなってるの……私の身体……ああ……もうダメ……
中嶋 「体調でも悪いんですか?」
そう言って中嶋が香苗に一歩近づいた瞬間、香苗はハッと何かに気付いたようにして口を開いた。
香苗 「ぇ……ぁ……ご…ごめんなさいッ!」
そう声を発すると、香苗は慌てた様子で自分の部屋まで駆けて、そそくさとドアを開いて中へと入っていってしまった。
香苗が居なくなった場所で呆然と立っている中嶋。
中嶋 「……なんなんだ?今の……。」
中嶋は香苗の自分に対する振る舞いに、不思議そうな顔をしていた。

ごめんなさいとは、何を謝ったつもりだったのか。
中嶋 「なんであんなに慌ててたんだ?」
先程の香苗の様子を見れば当然浮かんでくるような疑問だ。

香苗の様子は明らかに不自然であり、変だった。

火照った顔、潤んだ瞳、少し開いた口。

今考えて見るとあれは明らかに体調が悪いといった表情ではない。
まるであれは……女のあの時の表情……
中嶋 「……。」
少しその場で考え込むように腕を組む中嶋。

頭の中で先程の香苗の表情を思い出す。

そして中嶋はその香苗の表情から、すぐにある事を察した。

それが分かった瞬間、中嶋の顔はニヤっとなんともイヤらしい、そして不気味な笑みを浮かべた。
中嶋 「……フッ……ハハッ、もしかしてあの奥さん……へへ…いいねぇ、久しぶりに楽しめそうだな……。」
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香苗 「ハァ……ハァ……」
胸の高鳴りがまだ止まらない。

玄関で閉めたドアに凭れながら、香苗は目を閉じて今しがたの出来事を頭の中で再生していた。
香苗 「……私ってバカ……絶対変に思われてる……」
中嶋の事を過剰に意識してしまっている。
もしかして今の自分の態度でその事を中嶋に勘付かれてしまったのではないかと、香苗は心配になっていた。
香苗 「……」
しかしそんな心配よりも、今香苗の頭の中で大半を占めているのは、先程見た中嶋の姿だった。

広い肩幅、太い腕、大きな手、長い指、まさに?男?を感じる体格と風貌。
……中嶋さんってあんなにも逞しい身体してたっけ……
香苗はどちらかというと、ああいった見るからに?男?を強調している容姿の男性の事はタイプではなかった。

しかしなぜだろう、今はなんとなく違うような感じがする。

女として、むしろ中嶋のような軽そうな男は苦手であったはずなのに。

いや、苦手なのには今も変わりはない。香苗が愛しているのは今も夫・祐二であって、中嶋に対する感情はそれとは違う。

でも、先程中嶋の姿を見た時、中嶋の声を聞いた時、中嶋の逞しい腕を見た時、あの中嶋の手が自分の股の間に侵入してくるのを想像してしまった。

中嶋は女性の相手をする時、あの長い指をどのように動かすのだろうか。
香苗 「……ハァ……」
香苗が中嶋に対してそんな事ばかり考えてしまうのも無理はない。

香苗はここ数週間、毎日のように中嶋を性の対象としてオカズにしてきたのだから。
……ハァ……ハァ……ハァ……
身体の火照りが一向に治まらない。

香苗は玄関からそのまま寝室へと向かった。

そして寝室にあるクローゼットを開け、その奥からガサゴソとある物を取り出そうとする。
中嶋と見知らぬ女性との行為は1週間の内、平日の5日間で行われていた。

それを香苗も毎日聞いて、自慰行為を続けていた。

オナニーでの軽い絶頂も覚えた香苗は、その甘い快楽にどっぷりとハマってしまっていたのである。

身体の中に溜まったムラムラ感を解消したいという欲望に、いつもどうしても負けてしまう。

いけないと思っていても、やめられなかった。

自分自身がある種のスパイラルに入ってしまっているのだという自覚があるにも関わらず、香苗は自我の欲望を抑える事ができないでいたのだ。

そんな香苗の今の身体は、依存性の中毒に掛かってしまっていると言ってもいい。

それが特に分かるのが、土日だ。

土日は祐二も家にいる事が多いのでそれをできないし、隣から中嶋達の声が聞こえてくる事もなかった。

だから毎日のように溜まってしまうあのムラムラ感を、土日は解消する事のできないのだ。

本来なら愛する夫と過ごせる嬉しい休日であったはずの土日が、今の香苗には苦痛になってしまっていた。

溜まり過ぎたムラムラ感は苛立ちに変わり、実は少し前に祐二とちょっとした事で口喧嘩をしてしまった香苗。香苗にしては珍しい事だ。
もちろんすぐに香苗が『ごめんなさい、変だよね、私…』と言って謝った事でそれは治まったが、これはもう、中毒症状が出ていると言っていい。

オナニーによって性欲を解消しなければ、今の香苗は普通でいられないのだ。

だから週末なるといつも月曜日が待ち遠しく感じてしまう。

溜まりに溜まった性欲を解消する月曜日のオナニーは、その分快感も大きかった。
ガサゴソ…
クローゼットの奥に隠すように置いてあったそれを、香苗は手に持ってベッドの側に移動した。

手に持ったそのピンク色のオモチャのような物をじっと見つめる香苗。
香苗 「……」
中嶋が先程部屋から出て行ったのは、また女性を連れてくるためだろう。

そしていつも中嶋達が行為を始めるのは昼頃からだ。

今はまだ朝の9時。

しかし、今の香苗はもう時計の針が回るのを待っていられなかった。
……ハァ……ダメ……我慢できない……
眩しいほどの日光が差し込む寝室のカーテンをしっかりと閉めた香苗は、ベッドの前で服を脱ぎ始める。

裸になりたかった。服も下着も、身体を締め付ける全ての物が息苦しい。

生まれたままの姿で、全てを曝け出したい。

中嶋と会った余韻が残っている内に、それに溺れたい。
あっという間に裸になった香苗は、ベッドの上に座り、先程取り出したオモチャを再び手にした。
もっと快感を感じたい、そんな気持ちからエスカレートしていった毎日の行為。

中嶋の声が聞こえない午前中には、パソコンでアダルトサイトを見る事もあった。

人妻が夫とは別の男と激しく不倫SEXをする、そんなジャンルばかりを見て、自分をそれに重ねていた。

そんな中で目に留まった、大人のオモチャの販売サイト。

散々迷ったあげく、香苗はそれを購入してしまった。

今となってはそのピンクローター無しの生活は香苗には考えられない。

香苗は自分の指だけでは感じられない快感を知ってしまったのである。
香苗 「ハァ……ハァ……」
寝室にヴーーーーンという震動音が鳴り響く。

ゆっくりとそれを自分の股間に持っていく香苗。

目を閉じて、夫ではない男、先程会ってしまったあの男の姿をを思い浮かべる。

そしてそのオモチャが敏感な部分に当たった瞬間、香苗はベッドの上で快感を感じると同時に思わずこう口から漏らした。
香苗 「……ァアアア……中島さん……ンハァァ……」
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香苗 「……え?出張?」
祐二 「あぁ、突然なんだけど、来週からな。」
相変わらず仕事で忙しい日々を送っていた祐二。

毎日帰りが遅いのはもう当たり前にになっていたが、今度はそれに加え出張だという。
香苗 「来週から?何日くらいの出張なの?」
祐二 「たぶん1週間くらいかなぁ。地方の工場で色々とやらないといけない仕事があってさ。」
香苗 「1週間も……。」
香苗は思わずそう小さく声を漏らした。
祐二 「ごめんな、最近。構ってやれなくて。」
香苗 「えっ?ご、ごめん、そんなつもりで言ったわけじゃないけど……祐二は一生懸命お仕事頑張ってるんだもん。でも、あんまり無理しないでね。」
祐二 「うん。……そうだ、この忙しさが一段落したら、久しぶりにどこか旅行にでも行くか。年休でもとってさ。」
香苗 「え〜いいの?でも休みなんて取れるの?今会社色々と大変でしょ?」
祐二 「まぁたぶん大丈夫だと思う。香苗が行きたい所に連れて行ってやるよ。」
香苗 「祐二……ありがとう。」
香苗は祐二の心遣いが嬉しかった。

いつも祐二の優しさを感じた時、この人と結婚してよかったと思う。
香苗 「……。」
しかし最近の香苗は、そんな幸せを感じた後、どうしても心を押し潰されるような辛い感情を抱いてしまう。

自己嫌悪。

今の自分の普通ではない精神状態に、香苗は大きな不安を覚えていた。
……絶対おかしい……こんなの私じゃない……私……正気じゃなくなってるんだわ……
香苗がこんなにも苦しむのは、祐二が1週間出張すると聞いた時、一瞬心がスーっと楽になるような気持ちを抱いた自分が居たからだ。

1週間、祐二は家に帰って来ない。晩御飯の仕度や家事に、時間を縛られる事はない。
だからその1週間は思う存分にあの世界に浸れるのではないか。

あの世界から帰ってきて、毎晩祐二の顔を見る度に辛い思いをしないで済むのだ。

そんな事を心の片隅で香苗は思ってしまっていたのだ。
香苗 「祐二、忘れ物無い?」
祐二 「あぁ、ちゃんとチェックしたから大丈夫だよ。」
祐二が出張に行く当日の朝。

結婚してから今まで、祐二が出張に出掛ける事は何回かあったが、1週間も家を離れるのは初めてだった。
香苗 「食事はちゃんと栄養のあるもの食べてね、カップラーメンで済ませちゃダメよ。」
祐二 「ハハッ、なんか母さんみたいだな。そんな事まで心配しなくても大丈夫だよ、ちゃんと食べるから。」
香苗 「だって祐二の独身時代の食生活って酷かったもの、インスタントばっかりで……。」
祐二 「まぁなぁ、でもお陰様で毎日香苗の手作り料理食べてるから舌は肥えちゃってるよ。インスタントじゃなくて、ちゃんと店で栄養ある物食べるよ。」
香苗 「ホントは外食ばっかりも良くないんだけどねぇ。」
祐二 「じゃあ香苗も付いてくるか?俺専属の栄養士として。」
香苗 「フフッ、ホントに付いて行っちゃうよ?」
祐二 「そんな事したら同僚にすっげぇ冷やかされそうだな。」
香苗 「フフッ……祐二、帰ってくる日はご馳走作って待ってるね。」
祐二 「うん。よし、じゃあ行って来るわ。」
香苗 「気をつけてね……あ、下まで荷物運ぶの手伝うよ。」
大きなバックをそれぞれが持って、仲良さげに部屋から出る2人。
祐二 「大丈夫だって、1人で持てるからぁ。」
香苗 「いいのぉ!私に持たせてっ。」
祐二と香苗が部屋から出た所でそんなやり取りをしている時だった。

ガチャっという音が聞こえ、隣の恭子の部屋のドアが開いた。
香苗 「……っ!?」
その瞬間、香苗は一瞬ドキっとして動きを止める。
恭子 「あっ……香苗さん、祐二さん。おはようございます。」
香苗 「……。」
部屋から出てきたのが恭子だと分かると、香苗はホッと胸を撫で下ろした。
香苗 「お、おはよう恭子さん。」
祐二 「おぉ、恭子さん久しぶり!……あれ?もしかして恭子さんも出張とか?」
祐二の言葉で香苗も恭子が大きなバックを持っている事に気付いた。
恭子 「そうなんですよ、って事は祐二さんも出張ですか?」
祐二 「えぇ、一週間程ね。お互い忙しい時期みたいだね。」
3人はそのまま共にマンションを降りていく。

話によると、恭子も1週間程の出張らしい。

祐二と恭子が「大変だねぇ」などと話している間、香苗は何やら考え込んでしまっているような表情をしていた。
香苗 「……。」
祐二 「そっかぁ、じゃあ香苗はしばらく1人ぼっちだな?」
香苗 「う、うん……。」
恭子 「そうですよねぇ、祐二さん居ないと寂しいですよね、香苗さん。」
香苗 「え?ま、まぁ別にそんな……私は私で1人の時間を楽しもうかなぁ、なんてね。」
香苗はそう強がって見せる。しかしもちろん、香苗の不安は1人で寂しいからという事ではない。

もっと別の事を、この時の香苗は想像してしまっていたのだ。
……祐二も、恭子さんも居ない……1週間……
1週間。
まさかこの1週間で、香苗の人生が大きく狂わされてしまう事になるなんて、この時の香苗はそんな事思いもしていなかった。
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祐二と恭子を見送り終え、部屋へと戻ってきた香苗。
香苗 「……。」
1人になって静まり返った部屋で、今日から1週間、どう過ごそうかと考える。

何にも縛られる事のない、自由気ままな時間。

特にこれといった趣味のようなものはない香苗。あえて言えば、祐二のために毎日料理を作る事、それをしている時が香苗にとっては一番好きな時間であったと言えるかもしれない。

しかしその祐二は1週間居ないのだから、今は特に積極的にやりたい事などないのだ。
香苗 「……。」
香苗はリビングに立ち、そこから恭子の部屋がある方の壁をじっと見つめた。
……今日も、隣にいるのかな……
数分その壁を見つめた後、香苗はいつも通りに部屋の掃除を始めた。
ポカポカとした温かな日差しが窓から差し込むリビング。一通りの掃除を終えた香苗は、ソファの上で眼鏡を掛けて本を読んでいた。

久しぶりの読書。

元々本を読むのは好きだった香苗。しかし最近はゆっくりと読書を楽しむ事もなかったため、随分と前に買って棚に並べたまま読んでいなかった本がいくつもあった。この1週間でそれらを一気に読んでしまうのも悪くない。
香苗 「……。」
窓から心地良い風が入ってくる。

ゆっくりと流れる時間の中で、活字から生まれる物語の世界に浸る香苗。
しかしそんなゆったりとした時間は長くは続かなかった。

本を読んでいても内容が全く頭に入ってこなくて、なんだか落ち着かない。

正午を過ぎた頃だろうか、読書に集中できなくなってしまった香苗はついには本を閉じてしまった。
香苗 「……はぁ……」
香苗は思わずため息をつく。それはあの事を頭からどうしても外せない自分自身に対してのため息。
そろそろいつもの時間だ。
やはりあの非日常的な世界が、今日も香苗を誘惑してくる。

中嶋の声に身体の奥を掻き回され、熱くさせられるあの感覚が。
カチ……カチ……カチ……
普段は聞えない、リビングに掛けられた時計の針の音が、静まり返った部屋では少し五月蝿く(うるさく)感じる。

しかし時間は刻々と過ぎていったが、その日の昼、隣からいつものような声はなかなか聞こえてこなかった。
香苗 「……今日は、いないのかな……どうして……?恭子さんが出張だから……?」
そんな事を考えながらソファに座ったまま、本を開いたり閉じたりしていたら、気付いた時には3時を過ぎていた。

なんだか少し、肩透かしを食らったかのような気分。

そう思ってしまうのは、やはりあの刺激的な盗み聞き行為をしたいと思っている自分がいるから。
香苗 「……はぁ……。」
またため息。

もう今頃、祐二は出張先でバリバリ働いているだろう。

なのに自分は結局、いけない誘惑に惑わされ何も手に付かないまま時間を潰してしまった。

もうじきに夕方になってしまう。いつもなら、そろそろ晩御飯の買出し仕度と忙しくなるのだが。
香苗 「あれ……もしかして買い物行かないと駄目かしら……。」
香苗がキッチンへ行き冷蔵庫の中を確認すると、思っていたよりも食材が殆どなかった。

自分1人の分ならどうにかなるだろうと思っていたが、肉類や魚類も無いし、野菜も少ない。これでは買出しに行かないと、いくら1人でも質素過ぎる。
香苗 「よし、買い物行こうかな。」
どうせやる事が無いのだから少し料理に手を掛けて美味しいものを作ろうかと、香苗は思い立った。

それに買出しついでに少し洋服などのウィンドウショッピングでもしてこれば良い気分転換になる。

香苗はそう気持ちを切り替えると、昼間の悶々とした気分から勢い良く脱するかのように服を着替え、早々に買い物へと出掛けた。
香苗 「ん〜……あ、これいいなぁ。」
楽しそうに色々な商品を見てまわる香苗。

1人で買い物はいつもの事だが、今日のように時間を気にせずゆっくりと自分の好きな物だけを見れるのは久しぶりだ。

服、靴、時計や普段あまりしないアクセサリー、インテリア雑貨。

祐二が居ない時に買うのは気が引けたので止めたが、女性である香苗にとっては、やはりこういった物は見ているだけでも楽しい。

なんだか悶々としていた気分がスーっと晴れていくようだった。

他にもこうやって女性としての喜びや楽しみを感じる瞬間はやはりあるのだ。

このところ、中嶋の事が原因であまりに非現実的な世界に浸りすぎていた香苗は、今日のこの女性らしい良い気分転換で現実の世界にしっかりと戻れたような気がしていた。

やっぱり性的な事へのめり込んでしまうなんて自分らしくない。

香苗は今までの人生を、それなりに女性らしく清楚であるようにと暮らしてきたつもりだ。

そしてこれからも、祐二の妻としてなるべく女性として清らかでいたいと今この瞬間、香苗は思えたのだ。

それに気付いた時、香苗は昼間の、心のどこかでいけない事を想像していた自分が馬鹿らしくなった。
……あんな変な欲に負けてたらダメだわ……
香苗は自分で大切な事に気付き、あの世界から抜け出せたのだと、思わず微笑んだ。
香苗 「フフッ、今日の料理はちょっとだけ贅沢しちゃおっかなぁ。たまには1人でワイン飲むのもいいよね。……あっ映画とかレンタルして見ようかなぁ。」
一通り見たいものを見て満足した香苗は、食料品売り場で食材を買い、別の店で映画をレンタルすると、晴れやかな気分で自宅へと戻って行った。
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夕陽の光でオレンジ色に染まる街。

道は仕事から帰宅する車で少しずつ混み始めていて、歩道には部活終わりの中学生や高校生が楽しそうに話をしながら歩いている。

そんな当たり前のようで貴重である、平和な光景を眺めながら、香苗は車を走らせていた。

夕方というのは皆が安心したい時間帯だ。

疲れる仕事や学校を終え、あとは家に帰れば家族との寛ぎの時間が待っている。

?今日の晩御飯はなんだろうな?だとか、ある家を通り過ぎたときにスパイシーな香りを感じると?あ、ここの家は今日カレーかぁ?などと思いながら帰り道を歩くのが、平凡だけど幸せなのかもしれない。

香苗は流れ歩く人々を見て、ボンヤリとそんな事を考えながら車を走らせていた。
地下駐車場に車を止めバタンとドアを閉めて、マンションのエレベーターへと向かう香苗。

夜ご飯を食べた後はゆっくりと映画を見よう。

しかしそんな風にささやかな贅沢を想像しながら、降りてくるエレベーターを待っていたその時、香苗は一瞬、後ろに人の気配を感じた。
香苗 「……?」
そういえば前にも同じような事があった気がする。

何か嫌な予感を感じながら香苗は、ゆっくりとその気配のする後ろに振り向いた。
香苗 「……ぁ……」
中嶋 「あれ?また会いましたねぇ奥さん。」
その姿を見た瞬間、その声を聞いた瞬間、香苗は身体の芯がゾクゾクと震えるのを感じた。

先程までのホンノリとした幸せの気分が、一気に別のものに切り替わる。
香苗 「な、中嶋さん……。」
中嶋 「ハハッ、またそんな驚いた顔して。僕の顔に何か付いてます?」
香苗 「い、いえ……そうじゃないですけど、突然だったのでビックリして。」
中嶋 「そうでしたかぁ、いやぁすみませんでした、突然背後から誰かが近づいてきたらそりゃ驚きますよねぇ。」
香苗 「……。」
しかし最初は驚きはしたものの、中嶋という男を目の前にしても、香苗は以前よりは冷静さを保てていた。

前は中嶋と会話をしているだけで、不思議と身体が熱くなっていくのを感じたが、今はなんとか抑えることができる。
……何も……何も意識する事なんてないんだから……
中嶋 「……恭子がね、出張でしばらく居ないんですよ。」
香苗 「ぇ……?えぇ、そうみたいですね。」
エレベーターのデジタル数字が切り替わっていくのじっと見つめながら、香苗は中嶋との会話に応えていた。
中嶋 「旦那さんも、出張なんでしょ?」
香苗 「えっ!?」
中嶋の言葉に香苗は思わず驚きの声を上げた。
……どうしてこの人がその事を知ってるの……?
中嶋 「恭子がさっきメールで知らせてくれたんですよ、今朝会ったんですよね?」
香苗 「あ……はい……。」
当然、恭子と中嶋は恋人なのだから、そういう事を会話の中で連絡し合っていても不思議ではない。だから祐二が出張している事を中嶋が知っていても別に驚く事ではないのだが。
中嶋 「じゃあ奥さんはしばらくお1人なんですね?」
香苗 「ぇ……えぇ…まぁ……。」
相変わらず中嶋のネットリとした話し方と言葉を聞くと、変な気分になる。
不快ではないのだけれど、自分の女としての本能が何か警戒を呼びかけきていた。
中嶋 「女性1人じゃ色々と不安でしょう?何か困った事があったら俺に言って下さいね。隣に居ますから。」
香苗 「あ、ありがとうございます……。」
中嶋 「恭子に言われたんですよ、奥さん1人だからもし何かあった時はってね。」
香苗 「そうでしたかぁ……。」
あの優しい恭子なら言いそうな事だ。

だがしかし、未だにこの中嶋があの恭子の恋人だなんて信じられない。
あんな毎日のように別の女性と関係を持っているこの男が。

恭子はあの事を本当に知らないのだろうか。
香苗 「……。」
でも、あの優しい恭子の事だからもしかして中嶋がそういった男だという事を全て承知の上で付き合っているのかもしれない。

普通に考えて、毎日毎日人が入れ替わるようにして自分の部屋に入っていて気付かないのはおかしい。

だとしたら、恭子はこの中嶋の何に惹かれているのだろうか。

多くの浮気を許せてしまう程の何かが、この中嶋にはあるのだろうか。

香苗はふとそんな事を考えながら、中嶋と共に降りてきたエレベーターの中へと入っていった。
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中嶋 「今夜も手作り料理ですか?」
中嶋は香苗が手に持っている買い物用のバッグを見ながら言った。
香苗 「ぇ……えぇ……。」
対する中嶋は手にコンビニのビニール袋を持っている。
中嶋 「いいですねぇ、お1人でもやっぱりちゃんと作るんですね。俺なんかこれですよ。」
そう言って中嶋はコンビニの袋の中身を香苗に見えるように広げる。

香苗がそれをそっと覗くように見ると、中にはいくつものカップーラーメンが入っているのが見えた。
香苗 「……晩御飯……これなんですか?」
中嶋 「ハハッ、まぁ俺はいつもこれですから、結構美味しいんですよ。奥さんに1つあげましょうか?」
コンビニの袋からカップラーメンを1つ取り出し、香苗に差し出す中嶋。
香苗 「い、いえ……私は……。」
香苗は少し困ったような表情でやんわりとそれを断った。
中嶋 「ハハッ、冗談ですよ。奥さんみたいな人はこんなの食べませんよね。でもまぁ俺は料理しないし、恭子も料理はあんまり得意ではないんでね。これで済ませてしまう日も多いんですよ。」
香苗 「そうですか……。」
香苗は中嶋の話を聞いて、ふと昔の事を思い出した。

まだ結婚する前、祐二と付き合って間もない大学時代、インスタント食品ばかりを食べていた祐二に栄養のある物を食べさせてあげようと祐二の部屋へ料理を作りによく通っていた事。

スーパーで買い物をしてから祐二が住んでいたアパートに行くのが凄く楽しかった。

確か初めて祐二の部屋に行った時も、料理を食べさせてあげるという理由で行ったのだっけ。
そんな事を思い出している間に、エレベーターが香苗達の部屋の階に到着し、ドアが開いた。

エレベーターから降りれば、部屋はすぐそこである。
中嶋 「じゃあ奥さん、何かあったらいつでも言って下さいね。お隣同士の仲だし、気軽に言って下さいよ。」
香苗 「あ、ありがとうございます。」
そう言って2人は別れ、それぞれの部屋へと入っていった。
香苗 「……はぁ……。」
玄関のドアを閉めた香苗はその場で1つため息を付いた。

前程じゃないにしても、やはり中嶋と2人で話していると変に気疲れしてしまう。

しかし少しの間だったが、中嶋の話を聞いていて、中嶋という人間を自分は少し勘違いしているのかもしれないと香苗は思った。

自分はもしかして中嶋に対して警戒心を持ちすぎているのではないかと。

確かに女性達との関係が特殊である事は間違いなく、その価値観は香苗には全く理解できないものだ。

だけど、それ以外の部分はいたって普通なのかもしれない。

?何か困った事があったら言ってくださいね?というような心遣いをされたからなのか、香苗は素直にその事については良心なのだと受け止めていた。

毎日隣の部屋で中嶋と関係を結んでいた女性達は、その雰囲気から中嶋に好意を持っている女性達であったように思える。

決して無理やり中嶋が女性に何かをしているような感じではなかったし、女性は中嶋に何をされても嫌がっている様子はなかった。

中嶋は独特な雰囲気を持っている男性だが、自分が何か警戒しないといけないような相手ではないのかもしれないと香苗は思い始めていた。
香苗 「……。」
強引に女性に対して何かをしてしまうような、そんな人ではないような気がする。

女性に好意を抱かれやすく、そして恋愛感が香苗や祐二とは違う人。ただそれだけの事なのかもしれない。

そもそもあんな盗み聞きのような事を自分がしなければ、中嶋を変に意識するような事もなかったのだ。

恭子は香苗にとって大事な友人であり、中嶋はその恭子の恋人だ。

今度恭子に恋愛観の話など、さりげなく聞いてみれば良いのかもしれない。

人の価値観は人それぞれ。

打ち解けてそういった話もしてみれば、中嶋との関係性も少しは理解できるのかもしれない。
グツグツという鍋の中からする美味しそうな音、そしてスパイシーな香りがキッチンから漂う。

エプロン姿の香苗が、小さな鼻歌交じりで料理をしている。
香苗 「うん、結構いい感じかな。」
香苗が作っているのはカレー。

本当はもっと手の込んだビストロ風のフランス料理を作る予定だったが、急遽変更したのだ。

なぜそんな事をしたのか、その理由は鍋の中のカレーの量を見れば理解できる。

コトコトと美味しそうに煮込まれているカレーは、どう見ても1人分の量ではない。
香苗 「……やっぱりカレーが一番無難よね。」
味見をしながら香苗はそう呟いた。

なんとなくメニューを変更し、なんとなく多く作ってしまったカレー。

なぜこんなにもカレーを作ってしまったのか、自分でもよく分からない。

いや、よく分からなくても良いのかもしれない。

ただただ純粋な良心でカレーを沢山作ったのだと、香苗は自分に言い聞かせる。
香苗 「……。」
しかし作ってしまったものの、香苗はまだ迷っていた。

このカレーを、あの人物の所に持って行くかどうかを。
34

香苗 「……ふぅ……。」
1つ深呼吸をしてから香苗はインターホンのボタンを押した。

中に中嶋が居る部屋のドアの前で香苗は返答を待っている。

手にはカレーが入っているタッパとサラダとフルーツが入ったタッパを持って。

最後まで迷いながらボタンを押した香苗の胸は、若干の緊張で高鳴っていた。

もしかして余計な事だったのかもしれない。
でもカレーは大量に作ってしまったわけだし、1人ではとても食べきれない。

どうしてこんな事をしているのか自分でもよく分からないが、香苗の中で、カップラーメンばかり食べていると言う中嶋が、なんだか昔の祐二と少し重なっている様な感じがして、ほっとけなくなったのかもしれない。

とにかく香苗は世話好きというか、そういう性分なのだろう。
香苗 「……。」
しかしインターホンで呼んでから少し経つが、部屋の中からの反応が無い。
……どうしたんだろう……もしかして出掛けちゃったのかなぁ……
2分程経過してから、もう一度ボタンを押してみたがやはり反応は無い。
香苗 「……ふぅ……留守かぁ……。」
そう呟き諦め、香苗が自分の部屋に戻ろうとしたその時だった。
中嶋 『は〜い、どちらさん……あっ!奥さん!』
小さなスピーカーから中嶋の声が聞こえた。

インターホンに付いているカメラで香苗の顔を確認した中嶋が、威勢のいい声で部屋に戻ろうとした香苗を呼び止める。
香苗 「ぁ……あの……吉井です……あの……」
中嶋 『ちょ〜っと待っててくださいね、今出ますから。』
香苗 「は、はい……。」
一度居ないと思って、せっかく料理を作ったのに残念だったという気持ちと、緊張が切れて少しだけホッとしたような気持ちが芽生えていただけに、中嶋が居たのだと分かるとまた妙に緊張感が増してくる。
香苗 「……。」
ドアを開けて中嶋が出てくる姿を思わず想像してしまう。

中嶋は自分が持っているものを見て、どんな反応をするのだろう。喜んでくれるだろうか。

それとも、またあの持ち前のネットリとした視線で身体をジロジロと見てくるのだろうか。

しかしこれまでの事を考えると、恐らく中嶋の女性を見る目というのはいつもああいった感じなのだろうから気にする事はない。

友人である恭子の恋人が隣の部屋に1人で居て、カップラーメンしか食べる物がないと聞いたから、自分はごく自然な善意でその人に料理を持ってきただけなのだ。

今まで恭子にだってそうしてあげた事はあるし、以前隣に住んでいた人にもよく料理を持って行く事があったのだから。

いつものように笑顔で料理を渡し、さっさと部屋に戻ればいいだけの話。何も緊張する事なんてない。

香苗はそう自分に言い聞かせて中嶋が出てくるのを待っていた。
香苗 「……。」
ドタドタとして少し慌てているような足音が近づいてくる。
……来る……
そしてそのドアはガチャっという音と共に勢いよく開いた。
中嶋 「いやぁお待たせしてすみません!ちょっと風呂に入ってたもんですから。」
香苗 「……えっ!?キャァッ!!!」
しかし部屋から出てきた中嶋の姿を見た瞬間香苗は、思わず悲鳴に似た声を上げてしまった。

そして身体ごと顔を横に向け、視線を中嶋から逸らす。

中嶋は香苗にとってあまりに衝撃的な姿で現れたのだ。
中嶋 「あ〜すみません、慌ててできたもので、へへっ……。」
自分の姿を見てすぐに拒否反応を示した香苗に軽い感じで謝りながら中嶋は笑っていた。
香苗 「あ……あの……困ります……そんな格好で……。」
顔を真っ赤にする香苗。しかしそれは仕方の無い事かもしれない。
なんと中嶋は腰にバスタオルを巻いただけの、ほぼ裸に近い格好で香苗の前に出てきたのだから。
中嶋 「ハハッ、そんな奥さん、今時上半身裸の男の姿なんて珍しくもないでしょう。結構純情なんですねぇ。」
香苗 「そ、そんなの……普通服着るじゃないですか……。」
香苗は依然赤い顔のまま目を逸らして、そう言い返した。
中嶋 「そうですかねぇ、俺っていつも部屋の中じゃあんまり服着てないですから。いやでも、驚かせてしまってすみません。」
香苗 「……」
言葉では謝っていてもなんら反省の色がない様子の中嶋に、香苗は言葉を失っていた。
中嶋 「で?どうしたんです?何か用があったんじゃないですか?」
香苗 「……ぇ……あっ……あの……これ……。」
中嶋の問いに、香苗は顔を背けたまま手に持っているものを中嶋の方へと差し出した。
中嶋 「ん?これは……?」
中嶋は不思議そうな顔をしながら香苗の手から料理の入ったタッパを受け取る。
香苗 「あの……お口に合うか分かりませんけど……。」
香苗の言葉を聞いて中嶋はタッパを開けて中を確認した。その瞬間、中嶋の顔は一段と嬉しそうな笑顔に変わった。
中嶋 「おお!カレーじゃないっすか!これ奥さんが作ってくれたんですか?俺のために?」
香苗 「……ハイ……あ、じゃなくて……ちょっと作り過ぎちゃって……それで……」
中嶋 「マジっすかぁ、うわぁ美味そうだなぁ、ありがとうございます。」
香苗 「……ハ、ハイ……ぁ……」
中嶋の声があまりに嬉しそうにしているから、思わずもう一度中嶋の方を見てしまった香苗だったが、再度その上半身裸の姿を見て慌てて目を逸らす。
中嶋 「へぇ、こっちはサラダかぁ美味そうだなぁ、こんなまともな食事は久しぶりですよ。」
香苗 「あの、お口に合わなかったら捨ててもらっても結構ですので……。」
中嶋 「ハハッ何言ってるんですか、こんな美味しそうなものを俺は残しませんよ、絶対に。しかも奥さんがせっかく作ってくれたものなんですから。」
香苗 「そ、そうですか……それなら良かったです……じゃあ私はこれで……。」
香苗は顔を背けたままそう言うと、突然そそくさと自分の部屋へと戻って行ってしまった。
中嶋 「えっ?あ、ちょ……」
中嶋が何か言う前にドアを開けて部屋に入って行ってしまった香苗。
中嶋 「……
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